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僕は、青い色を白い壁に塗っていく。
壁は、青く踊りだしそうになっている。音楽やリズムが青にはありそうだ。色が重なることで濃くなり、色がぼやけて薄くなる。 壁に塗られた青のかすれ具合はまるで砂地の風のようにも見えた。僕は壁からそのまま続く天井も青く塗ってゆく。 天井には無味な感じの蛍光灯が輝いている。その色はとても冷たく、そしてとてもさびしい。 色が加わったらいいだろうと思い、蛍光灯も青くしてみた。ところどころ濃さが違って海の底の様な景色が部屋全体を滑らかに伝わる。魚。そう、魚がいたほうが楽しそうだ。海藻も若芽も欲しくなる。この光の中で眠ることはもしかしたら最近流行のヒーリングなのかもしれないと思った。 少し、時間を停めてみる。そもそもこの部屋に時間があるのかどうなのかそこが疑問はあるけど、それを忘れてしまっている位にこの時間はとてもに美しくて甘い。 魚や海藻や小さな空気の珠を頭の中で空想するとちょっと息苦しい気もしてくるほど、この部屋は青い。 涙が出るかもしれない。ふと考える。でも、泣くほどの余裕は、今の自分にないかもしれない。 そういえばと思って自分の足元を見た。 床がそのまま木の色なのはかわいそうな気がしてきた。 (そうだ、床も塗ってあげよう。) 青い色に塗れたらとても素敵だ。 青をそっと床に落とす。小さな波紋が最初の一転を伝って床全体に広がっていく。 「やめて。」 意識の中に叫び声が届く。 一瞬、僕の体がすくむ。 それでもかまわず、僕は青を大きく広げようとした。 「やめて、そんな色じゃない。」 「やめて、そんな色じゃない。」 僕の意識を支配するような声だ。 青く塗るということが、本当に必要なのか。という問いにもにた声に聞こえた。 僕は、その声を遮る。 「黙れ、僕は僕の為に。」 その声を遮って僕は更に色を重ねようとした。 するとそのとき、僕の体の下に確実にあった床が、ショートした電球のように消えてしまって 深そうな穴がその下へ延びていた。 そんなはずはない。 けれどもその中へ僕はものすごい勢いで吸い込まれる。 ふと気がついたときには、僕はどこにいるのかもわからなかった。 PR |
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