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雨の日は、嫌いだと言う人の気が知れないとミチは言った。
雨の日に外にでるのは寒いから嫌だけど、部屋の中から窓を叩く雨を覗くのは最高の趣味だと声を大にして言いたいと、ミチはいうのだった。 雨粒が窓にぶつかる。ひとつ、またひとつ。 ひとつの粒が他の粒とくっついて、流れ落ちる。流れ落ちる時に小さな粒を吸収するから、その重みで加速度が増す。 色々と重くならない方が、窓枠の下まで、届くのが遅いのだ。「人みたいだね。」僕が呟くと、ミチは怒ったような顔をして、僕の首にしがみつく。「わかりきった事を言うもんじゃないよ。冷めるじゃないか。」 ミチは、全部知っている。僕も口を滑らせた事を幾分悔いながら、ミチの柔らかな背中を少しきつく抱く。 終わりが来ることは知っていた。 二人は、重すぎる。重い二人が重なり合うと、更に重みが増すから、激しく絡み合って、激しく窓枠に散るだろう。だから、ぶつかる前でよかったのかもね。 ふと、リッキー・リーのポップポップが聞きたくなってCDを探した。雨には、リッキー・リーが似合うと言っていたのは、ミチだった。 もうじき、雨の季節が来る。 ミチの好きな季節だよ。 僕は机の上で、ちょっと不満げにどうにか笑っている彼女に話しかける。 今日はたまたま、春の嵐だ。 PR |
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